夜、ベッドでうとうとしているときに、体が突然「ビクッ」と跳ねて目が覚めた経験、ありませんか?
まるで落とし穴に落ちるような感覚──。あれにはきちんと名前があります。
「入眠時ミオクローヌス(にゅうみんじミオクローヌス)」、または**「ジャーキング」**と呼ばれる現象です。
ジャーキングは「脳と体の切り替えミス」
私たちの体は、眠りに入る直前に脳が休息モードへ切り替わるタイミングがあります。
そのとき、脳は体の筋肉の力を抜くように命令を出すのですが、
この「切り替え」がうまくいかないと、筋肉が一瞬だけピクッと動いてしまうことがあります。
それが入眠時ミオクローヌス。簡単に言えば、眠る前の神経信号の誤作動です。
健康な人にもよく起こるもので、医学的には病気ではありません。
ただ、疲労やストレスが溜まっているとき、寝不足のときなどに起こりやすい傾向があります。
「落ちる夢」を見るのはなぜ?
この現象とセットで語られるのが、「ジェットコースターから落ちる夢」や「階段を踏み外す夢」。
実は、あの夢はジャーキングが起こる瞬間、脳が「体が動いた理由」を夢の中で補完しているからだと考えられています。
つまり、落下している夢を見たから体が動いたのではなく、体が動いたから夢が作られたということ。
夢の内容は、脳が体の反応をストーリーに仕立てた“後付け”なんですね。
姿勢や呼吸も関係している
「首が前に倒れていた」「胸が圧迫されていた」など、呼吸が浅くなる姿勢もジャーキングを誘発しやすいです。
体が「呼吸がうまくできていない」と感じると、反射的に筋肉を動かして体勢を変えようとするためです。
これは一種の自己防衛反応でもあります。
頻繁に起こる場合の対策
ほとんどの場合は心配いりませんが、何度も起きて眠れないほどの場合は次のような工夫がおすすめです。
- 寝る前2時間はカフェインを控える
- スマホ・PC画面を早めに切り上げる
- 寝る前に深呼吸して、呼吸をゆっくり整える
- あお向けで、首が自然な角度になるよう枕の高さを調整する
特に「呼吸のしやすさ」は重要です。呼吸が安定すると、脳も安心して眠りに移行できます。
ビクッとしたら「眠りに入るサイン」と思ってOK
入眠時ミオクローヌスは、体と脳が「起きている」と「眠っている」のあいだを行き来している証拠です。
「また起きちゃった」と焦るよりも、「あ、そろそろ寝られそうだな」と受け止めたほうが、結果的に深く眠れます。
落ちる夢で目を覚ました夜も、慌てずに。
その“ビクッ”は、あなたの体が「そろそろ休もう」と合図を出しているだけなのです。

コメント