sPeaks

sPeaksは Jimmy Tada、駄々井 進、hiromichiitoによるクリエイティブ・ユニットです。

You are currently browsing the archives for 7月, 2005.

星宿海への道

 sPeaksデザイン第三弾、宮本輝著「星宿海への道」の文庫本が8月5日幻冬舎文庫より発売されます。今回のイラストレーションはsPeaksではお馴染みの佐々木悟郎氏です。佐々木氏独特の透明感、そして清涼感のある美しいイラストレーションに仕上げて頂きました。これからの季節、眺めているだけでも涼しくなってきそうなイラストレーションですね。今回の佐々木氏の作品では、構図や人物は勿論素晴らしいのですがキャストシャドウに対するアプローチが特に素晴らしいと思いました。佐々木悟郎氏のイラストレーションの世界では、影は非常に重要な存在であると思います。そこに哀愁を感じる時もあれば、懐かしさを感じる時もある。欧米と比べると、日本の太陽光線はかなり弱いので、影ももちろん薄くなってしまいます。それが日本画や浮世絵のようなフラットでキャストシャドウの目立たない間接照明の芸術を築き高めていったのではないかと僕は思います。障子なんかも間接照明にこだわった日本独自の道具ですよね。光のコントラストが弱いのが日本の日常であり、影には実は様々な色があるということを知っている人は案外少ないのではないでしょうか?佐々木氏の影への執着というか、こだわりに目を向けて改めて佐々木悟郎氏の作品をもう一度見てみれば、きっと新たな発見がたくさんあると思います。日常の様々な場面でも、影は無数に存在します。一度影に目を向けてみて下さい、今まで知っていた風景が変わって見えてくるのではないかと思います。今回の佐々木氏の作品も非常に影が素晴らしいのです。帯で隠れてしまう場所に自転車の影があるのですが、タイヤとその影が8の字の形になっている所なんかは凄いなぁと思いました。自転車も置きようによっては前向き、後ろ向き、右向きと出来るのですが、あえて左向きに配置したと言う事は、きっとこのタイヤの影の8文字フォルムが美しいと知っていたからなのでしょう。また帯を外した時の楽しみまで用意してくれているなんて粋な計らいですよね。生活のなかでそういった場面を逃さないというか、心にとめておく、いやそこの目がとまるのが才能なのですね。

7月21日 hiromichiito

Add a comment

陽だまりの偽り

 sPeaksデザインの第二弾が完成致しました。今回は、双葉社から出版される、長岡弘樹著「陽だまりの偽り」の単行本です。長岡氏は小説推理新人賞を授賞しており、これからが期待の作家さんです。五つの作品が入った短編集で、長岡氏にとっては今回が初めての単行本となりました。原稿を読ませて頂いた際には、ついつい仕事も忘れて最後まで読み切ってしまいました。とても面白い作品ばかりですので、皆様にも是非読んで頂ければと思います。さて今回のデザインですが、イラストレーションは木内達朗氏によるものです。非常に暖かく美しいイラストレーションに仕上げて頂き感謝しております。歩道からちょこっと出てきている郵便局員、小さな街の生活を切り取ったような場面構成、そこにダイナミックなビルディングのキャストシャドウと陽だまりの暖かな日差しのコントラストが、非常に効果的に使われていて美しいです。流石ですね。静寂な街の音さえも聞こえてきそうな作品です。色、構図、そしてどの場面を描くかという着眼点、この三つを兼ね揃えたイラストレーターはなかなかいません。そういう方々とお仕事をご一緒出来るという事は、非常に光栄であり楽しいものですね。今回のデザインは、陽だまりの暖かくゆっくりとした時間帯や雰囲気を壊さず、そこに「日常」というものを読者に感じて頂ける本に仕上げる事がテーマでした。カバーの下の表紙デザインも凄く格好良くできたので、是非手にとって見て頂きたいです。まだ店頭には足を運んでいないので、他の単行本と並んでみるのが実に楽しみです。

7月21日 hiromichiito

Add a comment