星宿海への道
sPeaksデザイン第三弾、宮本輝著「星宿海への道」の文庫本が8月5日幻冬舎文庫より発売されます。今回のイラストレーションはsPeaksではお馴染みの佐々木悟郎氏です。佐々木氏独特の透明感、そして清涼感のある美しいイラストレーションに仕上げて頂きました。これからの季節、眺めているだけでも涼しくなってきそうなイラストレーションですね。今回の佐々木氏の作品では、構図や人物は勿論素晴らしいのですがキャストシャドウに対するアプローチが特に素晴らしいと思いました。佐々木悟郎氏のイラストレーションの世界では、影は非常に重要な存在であると思います。そこに哀愁を感じる時もあれば、懐かしさを感じる時もある。欧米と比べると、日本の太陽光線はかなり弱いので、影ももちろん薄くなってしまいます。それが日本画や浮世絵のようなフラットでキャストシャドウの目立たない間接照明の芸術を築き高めていったのではないかと僕は思います。障子なんかも間接照明にこだわった日本独自の道具ですよね。光のコントラストが弱いのが日本の日常であり、影には実は様々な色があるということを知っている人は案外少ないのではないでしょうか?佐々木氏の影への執着というか、こだわりに目を向けて改めて佐々木悟郎氏の作品をもう一度見てみれば、きっと新たな発見がたくさんあると思います。日常の様々な場面でも、影は無数に存在します。一度影に目を向けてみて下さい、今まで知っていた風景が変わって見えてくるのではないかと思います。今回の佐々木氏の作品も非常に影が素晴らしいのです。帯で隠れてしまう場所に自転車の影があるのですが、タイヤとその影が8の字の形になっている所なんかは凄いなぁと思いました。自転車も置きようによっては前向き、後ろ向き、右向きと出来るのですが、あえて左向きに配置したと言う事は、きっとこのタイヤの影の8文字フォルムが美しいと知っていたからなのでしょう。また帯を外した時の楽しみまで用意してくれているなんて粋な計らいですよね。生活のなかでそういった場面を逃さないというか、心にとめておく、いやそこの目がとまるのが才能なのですね。
7月21日 hiromichiito

